@phdthesis{oai:uec.repo.nii.ac.jp:00000925, author = {七井, 靖 and Nanai, Yasushi}, month = {2016-09-15}, note = {2013, 省エネルギー化が求められている照明や発光素子,光通信などの分野において、より高い機能を持った蛍光体研究の重要性はますます高まっている.例えば1996 年に白色LED が実用化されて以来,白色LED の方式に適合する蛍光体の研究開発が盛んに行われている.近年では酸化物や窒化物,酸窒化物を用いた蛍光体が注目され研究されている.しかし,材料による発光色の制限や作製時のコストの面での課題から,様々な発光色が得られ,かつ比較的安価に作製できる材料が求められている.また,Si 基板上に可視光域または光通信に適合する近赤外光域で発光する素子に関する研究も行われているが,蛍光体を用いた研究は少なく,より高効率な発光材料および素子が望まれている. 本研究では様々な発光素子への応用が可能な材料として,硫化物蛍光体化合物であるチオシリケート蛍光体に注目した.チオシリケート蛍光体はその組成にシリコン(Si)と硫黄(S)を含んだ結晶について希土類元素を賦活した蛍光体であり,青色光域から赤色光域および1.5 μm の近赤外光域で発光することが報告されている.また,1000?C から2000?C 以上での焼成が必要な酸化物,窒化物および酸窒化物に比べて低温で合成できるため,作製も容易である.さらに,Si を組成に含むことからSi 基板表面に直接チオシリケート蛍光体を作製することが可能であり,蛍光体を用いたSi 基板上光源への応用も期待される材料である. しかしながら,現在Si 基板上への作製に成功しているチオシリケート蛍光体の内部量子効率は2% と低効率であり,より高効率に発光するチオシリケート蛍光体のSi 基板上への作製が望まれる.また,既存のチオシリケート蛍光体では黄色光域から赤色域で発光する材料の安定性が低く,より高安定なチオシリケート蛍光体の探索も必要である.本研究では様々な発光素子へのチオシリケート蛍光体の応用に向けて,高効率で発光する(Ba,Eu)Si2S5 緑色蛍光体粉末およびSi 基板上蛍光体層を作製し,それらの結晶構造および発光特性について評価した.さらに,Si 基板上(Ba,Eu)Si2S5 蛍光体層を用いた無機エレクトロルミネッセンス(EL) 素子の試作しEL スペクトルの測定を行った.また,高安定な新規チオシリケート蛍光体の探索を行うことで(Gd,Ce)4(SiS4)3 および(Y,Ce)4(SiS4)3 蛍光体を見出し,結晶構造,発光特性および耐水性を評価した. (Ba,Eu)Si2S5 蛍光体粉末は真空下での固相反応法により作製した.これまで属する空間群が不明であったBaSi2S5 および(Ba,Eu)Si2S5 結晶について粉末X 線回折(XRD)測定結果とSrSi2S5 結晶との比較により,空間群C2 に属する単斜晶系の結晶であることを明らかにした.XRD の結果からその格子定数を見積もり,イオン半径の違いからBaSi2S5 に対してEuSi2S5 の格子定数a,b,c はそれぞれ2.4%,2.5% ,2.9% 減少することを明らかにした.また,BaSi2S5 結晶内にSi4S 4?10 アニオン構造が存在することを振動スペクトル測定によって示した. (Ba,Eu)Si2S5 蛍光体粉末の発光(PL) スペクトル,発光励起(PLE)スペクトル,内部量子効率測定を行うことで発光特性のEu2+ 濃度依存性を明らかにした.いずれの試料でもEu2+ の4f65d-4f7 遷移による緑色発光が得られ,その内部量子効率は最大52% に達した.また,PL ピーク波長のEu2+ 濃度依存性が2 種のサイトの存在に起因することを時間分解PL スペクトルと発光減衰測定から明らかにした. さらに,(Ba,Eu)Si2S5 蛍光体をSi 基板上へ作製する手法を確立し,それを用いた無機EL 素子の試作した.その結果粉末試料と一致する緑色発光を示すEL スペクトルを得ることに成功し,チオシリケート蛍光体のSi 基板上光源への応用の可能性を示した. 希土類チオシリケートであるEu2SiS4 の高い化学的安定性に着目し,希土類チオシリケートを用いた蛍光体母体結晶の探索を行った.真空下での固相反応法による試料合成とXRD による評価から,蛍光体母体結晶となりうる単斜晶系(空間群P21/n)のGd4(SiS4)3 およびY4(SiS4)3 の単相試料作製法の確立に成功し,発光中心Ce3+ を賦活した(Gd,Ce)4(SiS4)3 および(Y,Ce)4(SiS4)3 蛍光体を見出した. PL スペクトル,PLE スペクトル,内部量子効率測定を行うことで発光特性のCe3+ 濃度依存性を明らかにした.いずれの試料でも白色LED の励起可能波長範囲(365 nm から470 nm)の励起光でCe3+の5d-4f 遷移による橙色発光が生じる.これら蛍光体の光吸収にはCe3+ の直接励起のみならず,チオシリケート母体結晶による間接励起も寄与していることを明らかにした.間接励起における発光の内部量子効率は(Gd,Ce)4(SiS4)3 で最大39% ,(Y,Ce)4(SiS4)3 で最大62% に達した.この内部量子効率は蛍光体の蒸留水への浸漬前後でも変化が見られず,本研究により高効率かつ高安定なチオシリケート蛍光体を実現するに至った. さらに,PL およびPLE スペクトル内に含まれる複数のスペクトル成分の存在を時間分解PL スペクトル測定,発光減衰曲線,20 K でのPL およびPLE スペクトル測定により明らかにした.}, school = {電気通信大学}, title = {発光素子応用に向けたチオシリケート蛍光体に関する研究}, year = {}, yomi = {ナナイ, ヤスシ} }