@phdthesis{oai:uec.repo.nii.ac.jp:00000843, author = {山本, 美紀 and Yamamoto, Miki}, month = {2016-09-15}, note = {2015, 近年,教育パラダイムは,知識注入主義から構成主義へ変遷してきた.前者では,「知識」が普遍的に真で分割可能であると考えていたのに対して,後者では,知識は社会によって構築され,体系・理論として意味を持つだけでなく,それが用いられるコミュニティに依存している[56]と考える.すなわち,それぞれ知識を細かい単位に分割して暗記させる知識注入主義と実践的にコミュニティに埋め込まれた知識を獲得する構成主義での学習観は異なってくる.現在の学校教育では知識注入主義に基づく学習観が学習者を支配することが多く,構成主義的学習観への変容は本質的な学習を行うための重要な課題となっている.本論では,学習観が学習者の評価観に密接に関係していることを利用し,構成主義的学習観に基づく評価を学習者に実践させることによって,学習観の変容を誘発できると考える.具体的には,ルーブリックを活用した実験的な授業を行い,その活用方法(提示方法,作成方法)の違いが学習者に与える影響をクローズエンドな課題(解が一意に決まる),オープンエンドな課題(解が一意に定まらない)を用いて実証的に分析する.一般に,観察データから現象の因果構造を探索する場合,SEM(StructuralEquationModel)と呼ばれる構造方程式モデル[6]が用いられている.本論では,まず,SEMを用いて因果分析を行った.その結果,(1)学習課題の形式によって学習者の目標志向性が変化して学習観の変容を抑制する場合があるが,ルーブリックの活用より課題によらず学習観の変容を直接的に誘発できる,(2)オープンエンドな課題では,課題実施前に教師と学習者集団の共同でルーブリックを作成した場合,最も学習観の変容を誘発する,(3)オープンエンドな課題では,構成主義的学習観への変容によって認知方略およびメタ認知方略を含む自己調整方略の使用が促進され学習課題の成績が向上する,(4)オープンエンドな課題では,学習者がルーブリックの作成に参加することによって構成主義的学習に対する内発的価値を高め,学習動機を向上させる,ことを明らかにした.しかし,SEMは,標本共分散と内在共分散行列の比較に基づく仮因果モデルの統計的検定によって提供されるため,変数の因果方向を推定することはできない.そのため,SEMの因果構造は,モデラーの背景知識や経験に依存し,最適性は保証されない問題が顕在化した.これに対し,近年,データから因果モデルを推定する手法LiNGAM(LinerNon-GaussianAcyclicModel)が提案され[36],注目されている.LiNGAMとは,本来,識別性のない因果方向の推定をデータの非ガウス性を用いて実現しようとする最先端手法である.そこで,次に,LiNGAMを適用することによって,新たに因果モデルを構築した.その結果,オープンエンドな課題を用いて課題実施前に教師と学習者集団の共同によるルーブリックの作成が,構成主義的学習観への変容を誘発する可能性が最も高い活用方法であることを示した.また,この方法は,学習動機づけ,学習方略の使用など,構成主義的学習において最も影響を与えるルーブリックの活用方法であることを明らかにした.さらに,LiNGAMを用いたことで,クローズエンドな課題において,課題実施前に教師が作成したルーブリックを提示した群以外は,構成主義的学習観への認識を高めた学習者は学習課題に対する自信(自己効力感)を向上させることを明らかにした.また,オープンエンドな課題において,認知方略の使用に連動し自己調整方略が促進されることが明らかになり,認知方略のみでは今回のオープンエンドな課題の遂行は困難であることが推測された.一方,学習課題の形式によって学習者の目標志向性が変化し学習観の変容を抑制する場合があるが,ルーブリックの活用により目標志向性を調整できる可能性を示唆した.}, school = {電気通信大学}, title = {ルーブリックと学習観、学習動機、学習方略との因果分析}, year = {}, yomi = {ヤマモト, ミキ} }