@phdthesis{oai:uec.repo.nii.ac.jp:00000835, author = {THAN, HONG PHUC}, month = {2016-09-15}, note = {2015, ローカルエリア・ネットワークやマルチチップ・モジュールにおける光検出器としてのPIN フォトダイオード、APD アバランシェフォトダイオード、フォトトランジスタなどがある。しかし、PIN フォトダイオードは利得を持たないために、入射光が弱いと感度が悪くなるという欠点を持っている。また、APD はアバランシェ降伏による利得を持つが、同時にノイズが発生するという問題がある。一方、フォトトランジスタ、特に高周波用として高濃度ドープしたGaAs をベースとしたヘテロ接合フォトトランジスタ(HPT)は、低電圧での高利得、低ノイズ、高信頼性といった利点を持つことから、local area network のような可視光領域での光通信、光配線においてPINフォトダイオード、APD アバランシェフォトダイオードの代わりとなる光検出器として期待されている。特に、HPT は、超高周波ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)を使ったアナログやデジタル回路と集積しやすいという利点を持つため、これまでにHPT とHBT を同じエピ基板上に集積し、光検出器のHPT の出力をHBT の増幅器で増幅する超広帯域受光器なども作製された。上述の光通信分野でのHPT の応用では、レーザーの様な単色光に対する応用が重要となるが、本研究では、InGaP/GaAs HPT の上述の光通信分野での応用の様な単色光ではなく、白色光に対する光応答検出器を検討する。HBT 同様、HPT もAlGaAs をエミッタにしたAlGaAs/GaAs HPT が主であったが、エミッタ・ベース接合で電子注入の障壁となる伝導帯のオフセットを少なくするためのAl 組成のグレーディングが必要であり、またAlGaAs とGaAs のエッチングにおける選択性が少ないので作製が容易ではないなどの理由で、近年は、InGaP/GaAs HPT の研究開発がより盛んとなっている。InGaP/GaAs HBT は、その特性が温度に大きく依存され、高周波領域での高出力アンプなどに使用されるため、信頼性の要素である温度特性や電気的ストレスの影響の評価は重要となっている。しかし、HPT の温度特性や電気的ストレスの影響についてはほとんど報告されていない。本研究では、白色光に対する光応答の高感度検出への応用を目的に、InGaP/GaAs HPT を作製し、300~400 K の温度範囲でInGaP/GaAs HPT の電流利得β 及び光照射によるコレクタ電流の増加分ΔIC(暗状態(Dark)と光照射状態(Light)の出力電流(コレクタ電流)の差)を測定した。その結果、電流利得β は温度とともに減少し、ΔIC は320 K まで増加するがその後は減少した。これらの実験結果は、HPT の三端子等価回路により説明された。また、HBT において露出した高濃度GaAs ベース表面でのキャリアの再結合を抑制し、電流利得β を高めるエミッタレッジパッシベーションのHPT における効果も検証した。エミッタレッジパッシベーションは、HPT においても全ての測定温度で高い電流利得β 及びΔIC を維持するのに有効であった。特にエミッタレッジパッシベーションは、HBT 以上にHPT の高性能化に貢献することが明らかとなった。電気的ストレス実験では、室温で1 時間の電気的ストレスを印加前後、HPT の特性の変化を解析した。さらに、電気的ストレスの影響の詳細研究のために、420K の高温で15 分間の電気的ストレスを印加前後、300K~400K の温度範囲でHPT の特性の温度特性を測定した。室温でのストレス実験は室温での1 時間で37 A/cm2 の電流密度を保ち、電気的ストレスをかけた。HBTs のストレス実験と比べると、HPTs のストレス実験は2~3 桁程度小さいため、室温でのストレス効果が見られなかった。しかし、室温でのストレス印加後のHPT を420 K の高温で測定すると、InGaP/GaAs HPT の特性の劣化が観測できた。ストレスによる劣化を加速するために、420 K で高温でのストレス実験を両HPT に与えた。高温でのストレスの電流密度が37 A/cm2 であり、ストレス時間を15 分に短くさせたにも関わらず、高温でのストレスによる両HPT の電流利得β 及びΔIC の低下は300~400 K の全ての温度範囲で大きい。エミッタレッジパッシベーションはエミッタ周辺の再結合電流を抑制し、電流利得を向上させる効果を持つ。HBT 同様に、HPT では、エミッタレッジパッシベーションが大変有効であることが分かった。一般的には、HPT を動作するためには、電源が必要となる。本研究では、GaAs 太陽電池駆動2 端子動作InGaP/GaAs HPT が試作できた。近年、GaAs や化合物半導体太陽電池は高変換効率を有し、放射線に対しても劣化が少ないため、宇宙への応用を目的とした研究が盛んになっている。これまでよく使われている太陽電池の材料としてのSi と比べると、同じ電子線照射のエネルギーやフルエンスで化合物半導体の方はより優れた耐放射線特性を持っている。InGaP/GaAsHPT はフローティングベースの2 端子動作またベースにベース電流を入力する3 端子動作がともに使われているが、3 端子動作は2 端子動作より電流利得β 及びΔIC が高い。しかし、GaAs 太陽電池と同じウェハー上で集積する場合には、HPT の2 端子動作の方が適する。GaAs 太陽電池はHPT 用エピのInGaP 層を窓層とし、HPT エピのベース層とコレクタ層で作製された。エピ層の厚さとドーピング濃度は太陽電池用ではなく、HBT 用のために最適化されていたが、得られたGaAs 太陽電池の短絡電流が0.89 mA、開放電圧が0.9 V、変換効率が5.8 %であった。この値は2 端子動作のInGaP/GaAs HPT を動作するのに十分であった。また、太陽電池駆動InGaP/GaAs2T-HPT の宇宙応用を検討するために、日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所で作製した太陽電池駆動InGaP/GaAs 2T-HPT に1 MeV フルエンス1.0 × 1015 cm-2 の電子線を照射した。高エネルギー電子線照射によるGaAs 太陽電池もInGaP/GaAs 2T-HPT も劣化が少ないため、太陽電池駆動InGaP/GaAs 2T-HPT への宇宙応用において光センサーとして期待される。最終的に、InGaP/GaAs HPT に高エネルギー電子線照射し、電子線照射によるHPT の劣化の詳細研究を行った。AlGaAs/GaAs HBT への電子線照射の詳細な研究結果はこれまで多く調べられ、報告されているが、InGaP/GaAs HBT、InGaP/GaAs HPT への電子線照射の詳細な研究結果についてはほとんど報告例がない。本研究では、電子線照射による劣化がエミッタ周辺での欠陥生成またはバルク欠陥生成のどちらによるのかを調べるために、電流利得β 及びΔIC とP/A の依存性を調べた。また、エミッタレッジパッシベーションの及ぼす電子線照射についても調べ、その効果を検討した。作製されたHPT を1 MeV 電子線のフルエンスを1.0×1014、5.0×1014、1.0×1015 cm-2 と変化させ照射し、電子線照射の前後、HPT の電流利得β 及びΔIC の劣化メカニズムを調べた。その結果より、HPT の電流利得β 及びΔIC とP/A との依存性、電子線照射のフルエンスとの依存性、電極間距離との依存性について明らかにした。以上より、本研究では白色光に対する光応答の高感度検出への応用を目的に、InGaP/GaAsHPT を作製し、測定及び評価を行った。HPT の高効率化やHPT への電気的ストレス及び温度変化の信頼性も確認できた。太陽電池駆動InGaP/GaAs 2T-HPT を試作し、測定した。このHPTを使った光センサーの宇宙応用を検討するために、電子線を照射し、その影響を詳細に解析した。}, school = {電気通信大学}, title = {太陽電池駆動InGaP/GaAsヘテロ接合フォトトランジスタの作製および信頼性に関する研究}, year = {} }