@misc{oai:uec.repo.nii.ac.jp:00010253, author = {長谷川, 勝彦}, month = {2022-05-11}, note = {2021, 現代の科学では、脳の構造が比較的よくわかっている状況にあるものの、どのようにして意識や思考といった機能が生まれるのか、その原理はわかっていない。生体の脳を直接調査することは容易ではないが、コンピュータシミュレーションであれば様々な試みが可能となる。医療の発展のためにも、こうした技術とともに神経科学の観点から脳のメカニズムを解明する事は重要であると考える。 運動制御の中枢である小脳は、下オリーブ核を経由する知覚刺激によって運動制御と学習に関係する複雑スパイクを発生させる。最近の先行研究により、小脳のマイクロゾーンと呼ばれる領域に発生した複雑スパイクの同期発火が、 他の領域とは逆相となって振動する協調的動作が観察された。この逆位相振動は、知覚刺激とは逆相の信号が他の脳領域から発せられている為と予想されている。しかし、下オリーブ核のネットワークには、タイミング調整のための同期振動が生じている事が知られており、下オリーブ核のみで同相と逆相の信号を調整する事は可能ではないかという疑問を持った。 そこで本研究では、精緻な形状を有する下オリーブ核のネットワークモデルを使った数値シミュレーションによって調査する事とした。まず、精緻な形状のニューロンのモデルを開発し、下オリーブ核のネットワークモデルを構築した。つぎに、そのモデルを用いたスパイクの応答実験や同期的振動実験を行いモデルの基本的な特性を確認した。さらに、二次元平面に配置したニューロンのネットワークから逆位相振動と振動に沿ったスパイクの発生が可能かを確認した。ネットワークモデルの実験により、外部刺激によって逆位相振動が確認され、振動に沿ってスパイクが生成される事を確認した。さらに、ニューロンの形状や結合の強さによって、振動同期に要する時間や、うねりの方向が調整される事を確認した。このことから、振動と同期してスパイクを発射するニューロン群が、振動のうねりの方向にあわせて移動していくことが期待されたが、それは確認できなかった。 本研究では、下オリーブ核のネットワークモデルにおいて、ニューロンの形状の違いによって全体が同期して振動を繰り返すか、位相がずれていくのかの違いを生み出すことをあきらかにした。しかし後者の場合、期待していた挙動とは異なり、膜電位の位相のずれがスパイク発射のタイミングのずれを引き起こすことはなかった。今後、その要因についてより深く検討することが必要である。}, title = {精緻な空間形状を持つ下オリーブ核ネットワークモデルのシミュレーション}, year = {}, yomi = {ハセガワ, カツヒコ} }