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(実験6):糖尿病の発症は,骨格筋の形態や機能に大きな変化をもたらす.形態的には顕著な筋萎縮を引き起こす.さらに,筋収縮負荷に対する抵抗性や損傷時の修復応答が劣ることが考えられる.したがって,1型糖尿病ラットモデルを作成し,エキセントリック収縮に対する細胞構造の抵抗性や損傷時の修復応答についてアポトーシスという観点に着目し検証をおこなった.その結果,エキセントリック収縮による損傷-再生応答が正常な骨格筋よりも遅延すること,さらに損傷期においてアポトーシス応答が増加することを明らかにした.第8 章および第9 章では,本研究から得られた知見を統合的に捉えて骨格筋におけるアポトーシス応答について考察するとともに,各研究課題における成果を検討し,運動ストレスによるアポトーシス応答とその機序について総括した.さらに今後の課題として,同モデルにおけるアポトーシス発生阻害による損傷-再生機構への影響について検証することの必要性について言及した.本研究の知見より,多核細胞である筋線維の損傷-再生の各段階において,アポトーシスの関与が明らかになった.特に,再生過程におけるアポトーシスの果たす役割は,多核細胞である筋線維に特徴的なユニークな生物学的応答である.これらの知見は新たな筋損傷修復メカニズムとして注目するべき点であり,運動のような複合的なストレスに対する骨格筋の高い可塑性を説明するメカニズムの一つでもあるだろう.", "subitem_description_type": "Abstract"}]}, "item_creator": {"attribute_name": "著者", "attribute_type": "creator", "attribute_value_mlt": [{"creatorNames": [{"creatorName": "須藤, みず紀", "creatorNameLang": "ja"}, {"creatorName": "スドウ, ミズキ", "creatorNameLang": "ja-Kana"}, {"creatorName": "Sudo, Mizuki", "creatorNameLang": "en"}], "nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "7025", 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骨格筋線維の損傷-再生過程におけるアポトーシス応答
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名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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9000000501.pdf (8.2 MB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-03-24 | |||||
タイトル | ||||||
言語 | ja | |||||
タイトル | 骨格筋線維の損傷-再生過程におけるアポトーシス応答 | |||||
タイトル | ||||||
言語 | en | |||||
タイトル | Myofiber apoptosis resposes in the inflammation and regeneration phase | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者 |
須藤, みず紀
× 須藤, みず紀 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 骨格筋は,多核細胞である筋線維の集合体であり,筋収縮によって誘発される様々なストレスに対して高い可塑性を有する.伸張性(エキセントリック)の筋収縮は,筋線維微細構造の崩壊,浮腫,貪食細胞の浸潤などの炎症反応を引き起こす.このような反応は,筋線維全体に生じるものではなく,線維の一部分に起こる.損傷した筋線維部位は浸潤作用によって除去されるが,再生過程を経てすみやかに回復する.したがって,筋線維の再生は部分的な修復と捉えることができる.これまで細胞死・細胞再構築に関する機能として,遺伝的にプログラムされた機構により自らを除去する「アポトーシス」が知られている.しかしながら,骨格筋の損傷-再生過程において多核細胞である筋線維に対するアポトーシスの関与は未だ明らかにされていない.本論文は,運動ストレスにともなう筋損傷とその再生機構に着目し,特にその過程で生じるアポトーシスの発生とその機序について明らかにすることを目的として以下の研究課題を遂行した.本論文は,以下の9 章から構成されている.第1章では,骨格筋におけるアポトーシスのメカニズムについて述べ,筋線維におけるアポトーシス発生に関する文献研究をおこなった.そして,第2章において,筋線維における運動ストレスによるアポトーシス応答を解明する必要性を指摘した上で,具体的な研究課題を設定した.第3章では,実験動物(ラット)を対象に運動誘発性筋損傷モデルを確立するために,収縮負荷条件(実験1)と損傷の発生割合やその範囲(実験2)について検証した.そして,この運動誘発性筋損傷モデルを用いて,第4章では運動ストレスによるアポトーシス応答における性差について検証(実験3)し,その結果を受けて第5章では筋収縮により誘発された骨格筋の損傷-再生期のアポトーシス応答とその機序の解明(実験4)を試みた.さらに,第6章では低酸素ストレス,第7章では糖尿病による代謝的ストレスをともなった運動負荷に対するアポトーシス応答(実験5,6)について検証した.以下に各々の研究課題とその概要について示した.研究課題 1 (実験1, 2):動物モデルを対象とした骨格筋における運動誘発性筋損傷モデルの確立を目的として,エキセントリック収縮負荷の回数依存性,および,筋損傷部位を解析した.その結果,筋損傷は,収縮回数が20 回以上の負荷では筋損傷を発生するが,10 回以下では誘発されないことが明らかとなった(実験1).また,前脛骨筋におけるエキセントリック収縮負荷は,近位部,中央部,遠位部では一様な損傷を誘導することが示された(実験2).研究課題 2 (実験3, 4):オス・メスラット骨格筋を対象にエキセントリック,およびアイソメトリック収縮を負荷し,損傷期のアポトーシス発生における性差について検討した.その結果,筋損傷と同様に筋組織におけるアポトーシス発生はアイソメトリック収縮よりもエキセントリック収縮で多く観察され,さらに,エキセントリック収縮に対するアポトーシス応答はオスにおいて顕著であることが明らかになった(実験3).また,損傷-再生期における筋線維のアポトーシス応答を組織・生化学的手法から検討することで,アポトーシス発生の生理学的意義の解明を試みた.その結果,エキセントリック収縮による筋線維でのアポトーシス応答は,損傷-再生期において持続的に誘発されることを明らかにした.これらの知見は,アポトーシスが損傷部位の除去に関与することに加えて,再生期の衛星細胞由来の新生核と既存の核との間における核数調節などの役割を果たしていること示唆するものである(実験4).研究課題 3 (実験5):筋収縮が生み出す運動ストレスに加えて,活動筋における低酸素刺激負荷をともなったエキセントリック収縮モデルを確立し,複合的なストレス刺激が筋組織へおよぼすアポトーシス応答および細胞内情報伝達物質について検証した.その結果,エキセントリック収縮中の血流制限による活動筋への低酸素刺激の増大は,血流制限をともなわない筋収縮負荷と比較して筋損傷,およびアポトーシス応答を抑制することが明らかとなった.また,血流制限下では損傷,アポトーシス応答を抑制するにもかかわらず筋肥大因子は活性化することが示された.したがって,低酸素刺激環境下における筋収縮モデルは,筋損傷を生じない効果的な筋肥大を引き起こすプログラムであることが示唆された.研究課題 4 (実験6):糖尿病の発症は,骨格筋の形態や機能に大きな変化をもたらす.形態的には顕著な筋萎縮を引き起こす.さらに,筋収縮負荷に対する抵抗性や損傷時の修復応答が劣ることが考えられる.したがって,1型糖尿病ラットモデルを作成し,エキセントリック収縮に対する細胞構造の抵抗性や損傷時の修復応答についてアポトーシスという観点に着目し検証をおこなった.その結果,エキセントリック収縮による損傷-再生応答が正常な骨格筋よりも遅延すること,さらに損傷期においてアポトーシス応答が増加することを明らかにした.第8 章および第9 章では,本研究から得られた知見を統合的に捉えて骨格筋におけるアポトーシス応答について考察するとともに,各研究課題における成果を検討し,運動ストレスによるアポトーシス応答とその機序について総括した.さらに今後の課題として,同モデルにおけるアポトーシス発生阻害による損傷-再生機構への影響について検証することの必要性について言及した.本研究の知見より,多核細胞である筋線維の損傷-再生の各段階において,アポトーシスの関与が明らかになった.特に,再生過程におけるアポトーシスの果たす役割は,多核細胞である筋線維に特徴的なユニークな生物学的応答である.これらの知見は新たな筋損傷修復メカニズムとして注目するべき点であり,運動のような複合的なストレスに対する骨格筋の高い可塑性を説明するメカニズムの一つでもあるだろう. | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(工学) | |||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 電気通信大学 | |||||
学位授与年度 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 2009 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2010-03-24 |